セミフォビア

昨日、俺の家に蝉が飛び込んだらしい。俺が帰ってきた時は何処にいるか判らず。いつ出てくるか判らぬ蝉を意識しつつ晩酌していた。夜中に「ジジジ」と言いつつベッドの下に潜り込んだようだ。俺はそのとき既に寝ていた。細君は怖くて処置が出来なかったということだ。

などと言いつつ俺も蝉が苦手。幼少の頃は蝉を捕まえて生きながらにして切り刻んでいたような記憶もあるのだが今は苦手。家の玄関の前に蝉がいると家にはいるのが怖くて躊躇してしまう。そのくらい苦手。特に瀕死の蝉はどう動くか判らぬ。

朝起きるとベッドの下を確認してくれ、と細君。覗いたけど何もいない。正直少しホットする。蝉が出てきたら俺が処理係じゃん。俺が勤務中に細君がこわごわ処置するのはやむを得ぬ事だ。ってかそうなって欲しい。

ところが不幸にも蝉はキッチンのゴミ箱の後から出てきた。ゴミ箱の中身を処置しようとして気が付いたらしい。当然の如く、処置の責務は俺に課せられたようだ。ふひー。

怖々と蝉をテッシュで掴んでゴミ袋に入れる。いつ「ジジジ」っていいながら暴れるかビクビクしつつ。どうやら蝉はその短い生涯を終え骸と化していたようだ。ピクリとも動かなかった。ちょっとホッとした。

でも、蝉ってヤツは死んでると思ってもビックリするぐらいの勢いで動くんだよなあ。ゾンビみたいだ。怖いったらありゃしない。